「この太陽光案件は10年間で年間150万円の収入があるんですが、800万円で買いませんか?」
あなたはどう計算し答えますか?
もし上司や先輩に聞かれてしっかり答えられれば「こいつ、できるやつだ」と思われること間違いないでしょう。
投資判断の基準として一般的にNPVや内部収益率(IRR)が使われます。
今回の記事は以下について超わかりやすく解説していきます。
・NPV、内部収益率(IRR)とはなにか
・エクセルで簡単に計算する方法とは
NPVとは
英語では、Net Present Value といって
日本語では「正味現在価値」と訳します。
難しい言葉でいうと
プロジェクトが将来的に生み出すキャッシュフローの現在価値の総和
全然意味わかんないので、少し掘り下げてみましょう。
現在価値とは?
質問です。
「本日の100万円と5年後の100万円はどちらの価値が高いでしょうか」
(物価変動は無視)
……….
答えはズバリ、
本日の100万円です!
理由は、
「今100万円を他で運用したら、100万円以上になるから」
また、「5年後の100万円だと運用できる分の機会利益が失われるから」ともいえるでしょう。当たり前ですよね。
じゃあ、
「5年後に100万円あげるから今、僕に投資して!」と親しい友人から言われたらいくらまで出してあげますか?
私なら、
「86万2千609円」なら投資するといいます。
考え方は
3%で5年間運用した場合に100万円になる金額を算出しました。
ちなみ筆者は割引率3%と勝手に置いたのですが、
「私なら日本株基準だから5%」
「僕は定期預金だから0.010%」
と個人の考え方によって異なります。
さて、NPVとは何かを整理すると
- 現在と将来のお金の価値は違うので、
- 割引率(他で運用した場合)で将来のキャッシュフロー(上記例では100万円)を現在の価値に割引く手法の1つ
といことです。
エクセルでNPVを計算する方法
以下の手順でエクセルを使います。
- 割引率を決める
- エクセルを1年目….N年目と投資期間に従って、マスを作る
- NPV関数を使う
関数はNPV(割引率, 値1,….)となるので、以下のように割引率と値範囲を入力します。
では、最初の問題に戻って考えてみましょう。
「この太陽光案件は10年間で年間150万円の収入があるんですが、800万円で買いませんか?」
さて、これは得ですか?損ですか?
前提として割引率5%=例:リターン5%のある株式で運用した場合とします。
計算上の答えは、
得です!!!
なぜなら、年間150万円×10年間のキャッシュフローの現在価値の総和は、
1,158万円となります。
なので初期投資800万円を差し引くと358万円の儲けとなります。
ただし、NPVは割引率をどれくらいで置くかによって変わるので要注意です。もっと高いリターンを期待するなら割に合わないかもしれません。
もし上司から「この投資検討してみて」と言われたら、社内でどれくらいの割引率を想定しているか確認したほうがいいでしょう。
この時点であなたは間違いなく「デキル社員」ですね!!
内部収益率(IRR)とは
先ほど述べたNPVと相関性があります。
難しく説明するとは、
NPVで出たキャッシュフローの現在価値の総和=ゼロとなる割引率
のことをIRRといいます。
初めて習う方はここらへんで挫折しがちなので
IRRとは割引率を求めるもの
と覚えておければOKです。
どんなときにIRRを使うのか?
主に複数のプロジェクトに対する投資判断で使われます。
※NPVでも同様に使えます。
例えばプロジェクトAとプロジェクトBどちらに投資すればいいか検討するとします。
プロジェクトA:
太陽光案件に800万円投資して10年間で年間150万円のリターンを得るプロジェクト
プロジェクトB:
風力発電案件に1000万円投資して5年間で年間300万円のリターンを得るプロジェクト
さて、どちらのプロジェクトのほうが良いでしょうか?
割引率が高い=NPVの総和が大きい=投資リターンの高いプロジェクト
(他の条件を無視した場合)
答えは、
プロジェクトBのほうがIRRが高い結果となります!!
では解説していきましょう。
プロジェクトA:IRRは13%
プロジェクトB: IRRは 15%
投資判断するなら、プロジェクトBのほうが良い結果となります。
なお、投資期間や投資金額が自由であるという前提のもとですので、個別企業ではプロジェクトAのほうが良いとなることもありますのでご注意ください。
また、NPVは実額でIRRは割引率で投資の良し悪しを決めますが、IRRとNPVの結果が異なることもあります。
(例:プロジェクトAとB比べるとNPVではA、IRRではBのほうがいいといった結果)
そういう場合、実務ではNPVのほうを優先することが多いと言われています。
NPVとIRRはあくまで机上の計算にすぎないので、
- 企業の投資基準(投資額や投資期間)によって判断が異なるケースがある
- 同じプロジェクトでもNPVとIRRで結果が異なるケースがある
エクセルでIRRを計算する方法
NPV関数の使い方が理解していれば簡単です。
手順は、
- 投資額を決めて、0年目でマイナス計上する
- エクセルを1年目….N年目と投資期間に従って、マスを作る
- IRR関数を使う
IRR関数はIRR(範囲, [推定値])と、実質計算したい範囲を選択するだけでOKです。
なお、0年度に初期投資の1,000万をマイナス計上します。
専門書の難しい説明や計算式など必要ないです。エクセルの関数を使えば簡単です!
まとめ
いかがでしたか?
あくまで専門的な部分は極力省略して解説しているので、詳しく知りたい方はぜひご自身で勉強なさってください。
投資判断は職階が上がるにつれて必須になってきます。このNPVやIRRは基本の「き」なので早めにマスターしておきましょう。
ちなみに、先ほどのIRRでも株式調達した場合はレバレッジ効果によってIRRの数値も大きく変わってきます。なので勉強すればするほど奥が深いです。
ぜひ、この記事がみなさまの理解のきっかけになれば幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございます。