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【永久保存版】太陽光・風力発電所開発の投資リターンの計算方法【企業担当者向け】

近年、再生可能エネルギーへの注目度が高まっています。

全く関係ない業種の企業もRE100の影響から、再エネ開発に乗り出しています。

あなたの会社も自社電力を再エネ電源でまかなうために、新たな部署を作って、

再エネ投資を始めるかもしれません。

ただ、どうやって投資リターンを検討すればいいのでしょうか?

筆者
筆者
kWとかMWとか全然わかんないですよね

じゃあ、外部コンサルに頼むとお金もかかるし。。。。

でも、コンサルに頼む必要はありません!!!!なぜなら、

エクセルで簡単に投資リターンを試算できる方法があります!

なお、ここでの投資リターンとは、IRRを使用します。

もし、IRRがよくわからない方は下記記事をご参照ください。

【超わかりやすく】投資判断の方法!NPVや内部収益率(IRR)とは?エクセルで簡単に計算する方法がわかる!【超わかりやすく】NPVや内部収益率(IRR)とは?投資の勉強を始めた人におすすめ!難しい説明や計算式は一切なし!エクセルの関数機能で事例問題を解きながら投資判断の方法について理解することができます。私は過去難しい専門書を読んで挫折した経験がありますので、この記事ではよりわかりやすくをモットーに解説しています。...

それでは早速、本題に入っていきましょう。

この記事では以下のことを解説しています。

  • 太陽光・風力発電所の仕組み
  • リターン算出に必要な数値の取得方法(政府機関が参考数値を出しています)
  • 初心者でもできるエクセルでリターンを計算する方法

太陽光・風力発電所の仕組み

どうやってお金を生み出しているのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。

発電した電力を買い取ってもらう

買い取ってもらう方法には二つの方法があります。

  1. FITまたはFIP制度の利用
  2. コーポレートPPAの利用

FIT制度の利用

まず、FIT制度ですが、

FIT=Feed in tariffといい、
要は電力の「固定価格買取制度」です。
つまり、20年間安定した価格で政府が買取ますよ~という制度。

筆者
筆者
安定して売電=売上が確保されているので事業者として投資しやすいですよね!

また、FIP制度はまだ施行されていませんが、2022年あたりから適用されると言われています。

FIP=Feed in premiumといい、
FITと比較すると「変動価格」での買取制度です。
難しくいうと現在の電力市場の値段+一定のプレミアムで買い取る制度です。

<FITからFIP制度への移行について>
FITの固定価格資金は国民から「再エネ賦課金」という形でまかなわれています。
一方、現在電力卸市場が存在し、毎時毎分電力の価格が決まっています。
再エネ事業者:「固定価格でしかも市場価格より高い値段で買ってもらえておいしいwww」
国民:「市場価格より高い値段で再エネ業者は国民の負担で儲かっている!許せん!」

まあ、再エネ事業者としては固定的に収入が見込めないものに投資はできないという事情はあるんですけどね。。。

また、再エネ投資では開発期間が長いので初期投資がかかります。

筆者
筆者
まだ発電所も出来ていない、かつプロジェクト段階の事業にお金貸してくれる銀行も少ないですよね。。。

コーポレートPPAの利用

PPAとは、

Power Purchase Agreementといい、
要は、「固定価格による買取契約」のことです。

ただし、コーポレートとあるので、

民間企業による、長期かつ固定価格での買取契約のことです。

上述したとおり、

  • 政府:再エネ進めたい
  • 国民:税金は使わせたくない
  • 発電事業者:安定的な収入が確保されないと投資できない
  • 民間企業:RE100に加盟するため、再エネ電源がほしい

ここで発電事業者と民間企業がマッチして、

コーポレートPPAが実現し始めました。

ただし、2020年後半から大手ガス会社などが契約しており、実例はあまり多くはないです(2021年4月時点)

今後はもっと増えてくると思います。

太陽光発電の仕組み

文字通り、太陽光を電力に変える発電方法です。

南向き斜面にパネルを敷き詰めて発電してます。
(太陽は東から西なので南だと一日中太陽光を享受できるから)

発電したあとは、送電線(送電会社)を通って需要家に供給されます。

一般的に、太陽光発電に必要なものは、

  • 日射量の高い土地(南、南西、南東斜面)
  • パネル、パワコン、架台
  • 固定価格の買取契約
  • 初期投下資本 など

もっと詳しく述べると、固定価格の契約する前には、

電力会社と連系契約(=電気を流していいですか)が必要です

また、初期のプロジェクト計画にも1年以上要することが多く、

初期投下資本も最初は自己資金で行うことが多いです。

しかも、環境アセスメントにかかれば、発電所稼働まで

太陽光:5年程度
風力:8年程度

かかる恐れがあります(上記はFIT認定からの期限を参考)

風力発電所の仕組み

小型なら高さ30~50mで、大型なら70~100mにプロペラ(=ブレード)をつけて風の力で発電機を回転させて電気を発電します。

一般的に、土地に選定が難しいと言われています

  • 風速が良いところ(周りに木や山がない平らな土地)
  • 地盤が固いところ(倒れる危険がある)
  • 港に近いところ(タワーと言われるプロペラを支える支柱物は大体50m以上あり、巨大重量物として深夜道路を止めて運びます)
    ※角とか曲がれません(笑)
  • 近隣に民家がない、景観上に問題ない等の法令順守が必要

また、固定価格、電力契約、初期投下資本については太陽光と同じです。

日射量・平均風速のデータはどうすればいいの?

上述した内容でお腹いっぱいという方もいると思います(笑)

筆者
筆者
発電所建設って難しい。。。

では気を取り直して、下記の求め方を解説します。

・太陽光発電所→ 年間の平均日射量
・風力発電所→ 年間の平均風速

NEDOという「新エネルギー・産業技術総合開発機構」が参考データを出しています。

太陽光の年間平均日射量:https://www.nedo.go.jp/library/nissharyou.html

風力の年間平均風速:https://appraw1.infoc.nedo.go.jp/nedo/index.html

本来ならば、特定の土地に機器を設置して、正確な情報を測定します。

例えば、風力発電所では2千万円くらい風況ポールを建柱します。

筆者
筆者
なんだ、お金かけなくてもできんじゃん!

と思ったあなた。

上記のNEDOが出している情報は、
500mメッシュで風況データである場合が多いので、
特定の地点だと誤差が生じます。
規模によりますが、10%誤差が出るだけで数千万円の売上ロスになります。

まあ、比較的に太陽光はNEDOの斜面日射量で問題ないかと思いますが、

風速は気を付けたほうがいいですね。

エクセルでリターンを計算する方法

上記の斜面日射量、平均風速がわかれば大体計算できます。

リターンを計算する前に、各太陽光・風力の年間発電量と売電金額を求める必要があります。

太陽光発電の場合

年間発電量と売電金額の求め方

下記の条件で計算してみましょう。

<条件>
・斜面日射量:4.1kWh / ㎡ / 日(北海道厚真らへん。NEDO参考値)
・パネル容量:1,980kW
・損失係数:85% (発電ロスの掛け目)
・FIT価格:10円

年間発電量の公式は以下になります。

斜面日射量×パネル容量×365日×85%

上記の条件だと、2,518,610 kWhが年間発電量であることがわかりました。

では、年間の売電金額はいくらになるでしょうか。

年間発電量(kWh)× FIT価格(10円で仮置き)となりますので、
年間売電金額=25,186,100円(2,500万円)となります。

つまり、上記の条件であれば、年間2,500万円のキャッシュが入ってきます。

リターンを計算しよう(IRR)

以下の条件で儲かる案件かリターンはどれくらいなるかを計算してみましょう。

<条件>
・初期投下資本:1億円 / 初年度だけ
・OPEX(必要経費):毎年1,000万円(メンテナンス、保険代等)
・IRR:売上総利益を20年間で計算する(年間売電金額 – OPEX)

IRRは14%となりました。かなりいい数字になりましたが、設定条件次第ですね。

ちなみにNTTの再エネ事業はIRR5%以上を目安としていると日経新聞(3/30付)に載っていました。

太陽光のIRRの試算方法はわかりましたでしょうか。

もし、「IRRがちょっと。。。」という方がいらっしゃれば、下記記事をご参考ください。

【超わかりやすく】投資判断の方法!NPVや内部収益率(IRR)とは?エクセルで簡単に計算する方法がわかる!【超わかりやすく】NPVや内部収益率(IRR)とは?投資の勉強を始めた人におすすめ!難しい説明や計算式は一切なし!エクセルの関数機能で事例問題を解きながら投資判断の方法について理解することができます。私は過去難しい専門書を読んで挫折した経験がありますので、この記事ではよりわかりやすくをモットーに解説しています。...

風力発電の場合

年間発電量と売電金額の求め方

下記の条件で計算してみましょう。

<条件>
・年間平均風速:6 m/s
・風力発電機の出力容量:1,980kW(60m級の風車1本)
・設備容量:40%
・FIT価格:16円

ここで重要なのは、設備容量です。

設備容量とは「1年間で実質的に稼働している容量」です。

風は吹いたりやんだりしますので、365日24時間回っているわけではありません。

一般的に40%くらいなのでここではそのように仮定します。

年間発電量の公式は以下になります。

年間平均風速×出力容量×365日×24時間×設備容量

上記の条件だと、6,937,920 kWhが年間発電量であることがわかりました。

では、年間の売電金額はいくらになるでしょうか。

年間発電量(kWh) × FIT価格(16円で仮置き)となりますので、
年間売電金額=111,006,720円(1億1,100万円)となります。

つまり、上記の条件であれば、年間1億1,100万円のキャッシュが入ってきます。

リターンを計算しよう(IRR)

以下の条件で儲かる案件かリターンはどれくらいなるかを計算してみましょう。

<条件>
・初期投下資本:5億円 / 初年度だけ
・OPEX(必要経費):毎年5,000万円(メンテナンス、保険代等)
・IRR:売上総利益を20年間で計算する(年間売電金額 – OPEX)

IRRは11%となりました。2桁超える案件はめちゃくちゃいいと言われます。

ただし、太陽光もそうですが、土地の造成費用や森林伐採費用でコストが想定より増加するケースが多々あります。

また、風力の場合は、50m級の風車の輸送では追加コストがかかることが容易に想定されます。

試算ではリターンがよくても、様々なリスクによって下振れ懸念があることを念頭に入れておきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

必要な情報、計算公式、エクセルがあれば初心者でもリターン試算が可能です。

ぜひご自身で行うときは、様々なリスクを想定してストレスケースを作って試算してみてください。

最後までお読みいただきありがとうございます。

2021年4月17日更新

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外資系料理男子のブログ
メガバンクに新卒入社後、丸の内の外資系企業に転職。同時期に料理にどハマりしTwitterでは「外資系料理男子の日常」として日々の料理をアップ。当サイトではお手軽レシピから手の込んだ肉料理、世界のレシピなど紹介しています。
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